2025-12-28

PyLadies Caravan in 静岡 を開催しました!

みなさま、はじめまして&こんにちは。PyLadies Caravan運営のKANANです。
日本各地の女性Pythonistaが繋がるきっかけづくりとして、全国の様々な場所でPyLadies Caravanイベントを開催しています。

2025年を締め括るPyLadies Caravanは、はじめての静岡市で開催してきましたので、その内容をご報告します!!

[イベントconnpass]

PyLadies Caravanについては、↓こちら↓の公式ページや過去投稿をご覧ください。

[PyLadies Caravanについて]


静岡はPythonイベントや勉強会も活発な印象でしたが、PyLadies Caravanとしては初開催。
とても楽しみにしていました。
会場は静岡駅から歩いてすぐの静岡市コ・クリエーションスペースさんのイベントスペースをお借りしました。室内なのにお洒落なアウトドア空間。椅子はSnowPeakと拘りを感じます。
素敵な会場を使わせていただき、ありがとうございました!

今回、現地スタッフをしてくれたのは、mizzsugarとyoolu_lyraさんさん。
普段から勉強会やイベントに関わられているのか、会場手配やプログラム検討などの事前準備をサクサクと進めてくれて、凄いなぁと感動。
そんなお二人のリクエストは、「データを使って簡単な分析やWebアプリで可視化がしたい」とのことで、広島2nd開催に続き、データ×Webアプリでのセッション構成でお送りしました。

イベントにはPythonはじめての方や、最近エンジニアになった方など7名のみなさまが参加してくれました。東京からもPyLadies TokyoでスタッフをしているYuuukaさんも駆けつけてくれました。

まず最初は恒例のPyLadiesという団体やその日本リージョンであるPyLadies Tokyo、そしてこのPyLadiesCaaravanの取り組みについて紹介しつつ、みんなでワイワイ自己紹介タイム。
静岡はおでんが有名ということで、好きなおでんの具も自己紹介とともに発表。大根人気ですね。

Session1:Pythonコトハジメ<データ分析編> @KANAN

Pythonはじめての方も多かったので、Pythonってどんな言語なのってお話をしつつ、実際にコードを実行しながらデータを触ってみるコトハジメ的ハンズオンセッションです。
今回使ったデータは、SSDSE(Standardized Statistical Data Set for Education)という独立行政法人統計センターが配布している統計リテラシー向上を目的とした教育標準データセット。様々な公的調査データがいくつかのカテゴリで整理されていて、使いやすいデータです。
その中でも47都道府県県庁所在地の家計消費データを使って、データの読み込みや結合、簡単な集計や可視化をやってみます。「家計消費の226個の項目で静岡市が上位にくるものは何でしょう?」と、データのソートを使って各々これだと思う項目の静岡の順位を探したところ、「まぐろ」や「ハンバーグ」などなどが上位にあがってきていました。
家計消費データで散布図描画


Session2:初学者でも怖くない!自分で作ったWEBサービスのデータを分析 @mizzsugar0425

今回、現地スタッフに手を挙げてくれたmizzusugarさんがセッションもやってくれました!!嬉しいですね。架空の老舗お茶屋さんのECサイトをケーススタディに実際に自分で作ってきてくれたECサイトのWEBサービスとそれに必要な技術要素について解説してくれました。
「すごい!」と口に出てしまいそうな、まるで本物のようなECサイトは、DjangoとRailwayの組み合わせで、生成AIを上手に使いながら2週間くらいで作ったのだとか。そのサイトを例に実際にビジネスを回すために、どのような仕組みが必要なのか、データをどう集めるのか、使われることで溜ったデータをどうビジネスに還元するのかを丁寧にお話してくれました。
最後にまとめとして「まずは小さなサイクルを回すことからはじめましょう!」と締めくくられ、とても勉強になるセッションでした。

老舗お茶屋さんのECサイトでケーススタディ

Session3:Streamlit で分析結果をWEB公開しよう @maaya8585

最後はmaayaさんによるStreamlitのハンズオン。私自身も広島2nd開催でこのセッションを聞いて、Streamlitでこんなこともできるのか!と色々試してみるきっかけになりました。
データ可視化を簡単にWebアプリケーションとして作れるStleamlitで、データ表示やグラフ描画の方法を学んでいきます。動的に制御したい時に必要なチェックボックスやスライダーなんかもさらっと数行書けばWeb画面に表示されます。途中、突然に宇宙人がUFOから舞い降りるイラスト画像なんかを表示させるmaayaさんがお茶目です。
簡単にStreamlitでできることを体験した後は、Session1でファイル出力した都道府県県庁所在地のマグロとブリ、お茶のデータを地図上にバブルでマッピングします。お茶の家計消費は静岡がダントツで濃い色で表示されます。またマグロとブリをタブで表示切替して見比べると、漁獲量の具合がでてるのかなぁと感じることができました。(ちなみにブリは静岡が少なく、富山が多い)

皆で頑張ってコーディング!

最後に

今回は総勢7名の参加者のみなさまにお越しいただきました。ここからまた新たな繋がりができていくといいなと思います。
そしてイベント終了後は希望者で懇親会!有名な静岡おでんのお店を予約してくれて、美味しいおでんに舌鼓を打ちつつ、盛り上がりました。
室内芝生で集合写真
皆でおでん争奪ドラフト会議なんかも

そして、PyLadies Caravanは全国各地で開催地を募集しています!
Webやデータ分析など最初に手を挙げてくれた方の興味のあるテーマで勉強会イベントを開催して、同じ地域やPyLadies Tokyo等の女性エンジニア仲間の繋がりを作っていきたいと思っています。
PyLadies CaravanのMeetUpを開催するには、開催地にお住まいの「地元スタッフ」が不可欠です。PyLadies Caravanのイベントに興味が沸いた女性Pythonistaの方がいらっしゃいましたらぜひ下記お問い合わせフォームよりご連絡ください!


また、通年各地のPyLadies Caravanに携わるコアな運営スタッフも随時募集中です。ご興味ある方いらっしゃいましたら同じく上記お問い合わせフォームよりご連絡ください!

もっと日本中の女性Pythonistaを元気に('ω')g!
以上、PyLadies Caravanからのイベント報告でした〜




2025-12-25

PyCon JP TV #59「生成AIを使ったコーディングのライブデモ: Streamlitでフロント実装編」を配信しました。次回 #60は2026年1月9日(金)配信、テーマは「Pythonistaに聞く2025重大ニュースと2026の展望」

鈴木たかのり@PyCon JP Associationです。 

PyCon JP TV #59「生成AIを使ったコーディングのライブデモ: Streamlitでフロント実装」を配信したのでその報告と、次回#60「Pythonistaに聞く2025重大ニュースと2026の展望」の予告です。

次回の元ネタとしてみなさんの考える「2025年重大ニュースと2026年の展望」を募集します。以下のリンク先のフォームからどしどしお寄せください。

PyCon JP TVの配信予定Googleカレンダーはこちらです。配信日を忘れないようにカレンダーへの登録をお願いします。Google Calendar / iCal 

PyCon JP TV #59: 生成AIを使ったコーディングのライブデモ: Streamlitでフロント実装

2025年12月のPyCon JP TVでは「生成AIを使ったコーディングのライブデモ: Streamlitでフロント実装」と題して12月5日(金)に配信しました。視聴してくれたみなさん、コメントいただいたみなさん、ありがとうございました。

面白かったら高評価してくれたり、チャンネル登録してくれるとうれしいです。
動画はこちらです。


 

各種関連情報へのリンクなどは、以下のPyCon JP TVのWebページで確認できます。

Pythonニュースでは以下についてとりあげました。

メイントーク: 生成AIを使ったコーディングのライブデモ: Streamlitでフロント実装

メイントークでは、生成AIを使用して経費精算アプリを作成する、というストーリーで、実際にライブでコード生成を行いました。

全ての機能を作成するには時間が足りないので、Streamlitでフロントエンド部分を実装するということで進めました。生成AIを使用したコーディングの雰囲気が伝わったでしょうか。

ぶっつけ本番でやってみましたが、なかなかうまくいかなくて大変でした(汗)。

PyCon JP TV #60 予告: Pythonistaに聞く2025重大ニュースと2026の展望

次回のPyCon JP TV #60は2026年1月9日(金)に19:30から配信予定です。

メイントークのテーマは「Pythonistaに聞く2025重大ニュースと2026の展望」です。毎年正月の企画として、Pythonista(Pythonを使っている人)から事前にアンケートをとり、その内容を元に2025年の重大ニュース、2026年の展望を深掘りしていきたいと思います。

以下のフォームでみなさんの重大ニュースと展望についての回答を募集しています。コメントを紹介させてもらった方には「PyCon JP TVステッカー」をお送りさせてもらいます。どしどし回答をお寄せください。

それでは、次回のPyCon JP TVでお会いしましょう。お便りもお待ちしています。「こんな内容を扱ってほしい」「パーソナリティーへの質問など」お気軽にご意見お寄せください!!

 

 

PyCon JP Association 運営会議 #77を開催しました

鈴木たかのり@一般社団法人PyCon JP Association代表理事です。

PyCon JP Associationは2、3カ月に1回理事が集まって運営会議を行っています。

2025年12月8日(月)に開催した第77回運営会議について報告します。また次回運営会議についてもお知らせします。 

第77回運営会議

現地参加メンバー

リモート参加メンバー

運営会議では、開催が終わったPyCon JP 2025の残件確認、PyCon JP 2026の立ち上げ状況、2026年度の仮予算、各種イベントの状況報告などが行われました。

議事録は以下を参照してください。 

次回運営会議 

次回運営会議は2026年1月19日(月)に開催します。運営に興味のある方は、以下のconnpassページから登録してぜひ気軽に参加してください。

会議のあとは現地参加メンバーでプチ忘年会

 

2025-12-22

PyCon JP 遠方支援を支える技術; Pretalx & PayForex編

PyCon JP Association 会計理事の清水川です。

先日のPyCon JP 2025では 37名 の遠方支援申込者に、合計約 366万円 の旅費資金援助を行いました。

私たちは、PyCon JP への参加を希望する方々が、住んでいる場所や旅費の負担を理由に諦めることがないよう、遠方支援制度を2012年( 遠方参加者の支援制度 - PyCon JP 2012 )から継続して実施しています。この制度は、スポンサー企業(パトロン含む)や有志の方々から頂いた寄付などによって支えられています。みなさま、ありがとうございます。

2025年の応募要項については以下の記事を参照してください。


nano banana pro に生成してもらったイメージ図
PyCon JP 2025 遠方支援を広島と東京から支えるAIイメージ

この遠方支援をより効率的かつ安定的に行うため、2024年から技術的な課題の解決に取り組んでいます。2023年のイベントでは現地での現金取り扱いに大きな課題が残りました。2024年の取り組みで課題の一部を解決できましたが、海外参加者への送金に課題が残りました。

今回、PyCon JP 2025ではこの課題を解決するために導入を進めた2つの主要な技術、PretalxPayForexの活用についてご紹介します。

課題の背景:2024年の海外送金と申込み管理

PyCon JP 2024 では前年の苦労を解決すべく、「イベント当日の現金持ち歩きを減らし、可能な限り銀行振込等で送金すること」を目標の1つに掲げました。しかし、年々各種サービスでの海外送金が厳しくなっている状況もあり、最終的に以下の内訳となりました。

  • 国内は、銀行振り込み(約 79 万円)
  • 海外は、個人のPayPalとWiseで送金(約 98 万円)
  • 海外で、電子送金できなかった人は現金(約 194 万円)

2025年は、PayPalとWiseでの海外送金を諦め、PayForexに統一しました。

  • 国内は、銀行振り込み(約 80 万円)
  • 海外は、PayForexによる送金(約 286 万円)

2024年のもう1つの課題は、「遠方支援申込フォーム」がPyCon JP 国内参加者向け、海外参加者向け、PyCamp/PyLadies向け、そして支援が確定した方向けの「送金先登録フォーム」の合計4つをGoogleフォームで作成したことによって、情報の突き合わせが難しくなってしまったことでした。また、この方法では申込者が現在のステータスを知る方法がメール連絡しかないことも課題でした。

2024年の取り組みについては以下の記事を参照してください。

技術1: Pretalxで応募・情報管理の一元化

Pretalxで応募・情報管理の一元化
Pretalxで応募・情報管理の一元化(AI生成のインフォグラフィックス)

従来の遠方支援では、Googleフォームを使って応募を受け付けていましたが、毎年フォームを作り直す必要があり、引き継ぎや繰り返し作業の手間が課題でした。特に海外の方への送金が絡むと、応募から参加確認、送金に必要な情報収集、そして送金までを一気に取りまとめるのが困難でした。

この情報管理の課題を解決するために導入したのが、CfP(プロポーザル応募)システムとして知られている Pretalx です。

私たちはこのシステムを遠方支援の応募管理に応用しました。

Pretalx導入による効果

  • アカウントベースの管理: フォームと異なり、参加者のアカウントに情報が紐づくため、遠方支援の申し込みから支援額の決定、メールの連絡まで、全てのプロセスをPretalx上で一元管理できるようになりました。
  • 進捗管理の容易化: 採択後、参加者にはアカウントを通じて銀行情報や必要な情報を入力してもらうことができ、運営側は「この人は銀行情報が入ったか?」「支援額はいくらだっけ?」といった進捗状況をシステム上で把握できるようになりました。
  • 複数言語対応: 今回は日本語と英語を使いました。入力項目ごと、メールごとに日英の文章を用意しておいて、申込者の言語設定で表示やメール送信されます。盲点だったのは、ある海外からの申込者が日本語で設定していてメール連絡も日本語で行われていたことです。そんなトラブルも有りましたが、とても便利でした。
  • メール送信: メール送信機能を内蔵していて、条件に一致した人に指定したテンプレートで一括でメールを作成できます。送信箱に入ったメールを、必要なら相手毎に編集もできるし、削除もできるので、テンプレートを凝りすぎたりフィルタ条件をがんばりすぎなくても調整が効くのが実務的でよかったです。また、メール送信は属人的になりやすい作業ですが、送信箱の確認やメール送信履歴の確認など、運営内で複数人で確認できる点も良かったです。
  • カスタムフィールド: 任意の入力項目を追加して、申し込み種別(Pretalxの「提案タイプ」)ごとにどのフィールドを表示するかを設定できます。また、フィールドごとに必須を指定したり、編集期限が過ぎると表示専用になったりします。検索機能からは、このフィールドの値のばらつきを確認したり、値ごとに申請をフィルタしたりできます。これを使って、「connpassイベント参加番号」フィールドや「銀行情報」が未入力のユーザーにメールを送る、といった使い方をしました。

Pretalxは遠方支援専用のシステムではないため、利用にはカスタマイズや工夫が必要でしたが、それをもってしても導入の成果は大きかったと思います。何人かの申込者に聞いてみたところ、「なかなか良かった」というフィードバックを頂きました。

一方で、やはり専用ツールではないことにより、Pretalxで解決しなかった課題がありました。

Pretalxで解決しなかった課題:

  • 採択者にのみ追加入力を提示: 採択された方には、送金先情報の入力や証憑をアップロードしてもらう必要があります。また、送金方法(銀行送金国内、銀行送金海外、SWIFT)によって入力項目を変更したいと思いました。しかしそのような機能がなかったので、採択されたら申し込み種別(提案種別)を切り替えて、表示するカスタムフィールドが連動して切り替わるように運用しました。この運用はちょっとした混乱と手間の原因となりました。採択ステータスによってカスタムフィールド表示がOn/Offする機能があればもっと手間が少なく済んだと思います。
    pretalxの提案種別
    pretalxの提案種別
  • 特定フィールドを運営側だけ変更: 決定した支援額や、送金完了分の金額を伝えるためにも入力フィールドを使用しました。入力フィールドは本来連絡用ではないのですが、他に方法がなかったため、指定日時以降ロックする機能を使って変更できないようにしました。しかし、運営側が入力する際にはこのロックを全員に対して解除する必要があります。解除中は申込者が変更可能になってしまうので、すばやく書き換えて再度ロックする必要がありました。
    pretalxのフィールドごとの設定
    pretalxのフィールドごとの設定
  • 一覧表示: 人類、なぜか一覧表になっていると安心できます。その一覧表にメモを書き込めるとより安心です。人類はスプレッドシートに書き写す作業から逃げられないのだと思いました。実際のところ、採択においては予算上限もあるため当落線上では比較が必要になりますが、それ以外では個別に検討すればよいのではないかと思います。だからPretalxからCSVダウンロードしてスプレッドシートへ転記する必要は無かった・・と言いたいのですが、たぶん私が一番この転記シートを見て全体の状態把握を継続的に行っていました。
    以下のキャプチャにある「チェックイン」はconnpassのチェックイン機能と連携させました。人力でconnpassから参加者一覧CSVを取得し、Pretalxに入力された参加番号と突き合わせています。いずれ、connpass API と連携して自動化出来る未来もがあるかもしれません。
    pretalxからcsv経由でspreadsheet化
    pretalxからcsv経由でspreadsheet化
  • 連絡フォーム: メール送信機能はありますが、申込者からの連絡を受ける方法がありませんでした。できれば、「申込者がログインして、フォームに書き込んだら担当者に通知メールが来る」と良いのですが…。代わりに、Atlassian Jira Service Management (JSM) を使用して連絡を受けることにしました。JSMは(公式サイトからは分かりづらいですが)、問い合わせメールアドレスを発行して、受信メールをそのままJira Issueにしてくれます。担当者はIssueコメントを「内部メモ」として残すか「相手に返信する」かを選んで投稿できます。複数人で担当できるし、対応状況も人目でわかるのでかなり便利でした。
  • 操作性: 一番のハードルは機能性よりも管理画面の操作性だったかもしれません。運営側の一部の手順は説明が難しかったですが、手順書を用意することで解決できた部分もあります。手順書がなくても申込みを審査できる、領収書を確認できる、というシステムが理想です。

フォームとデータ管理の過去の苦労について、2024年の記事 PyCon JP 遠方支援を支える技術 で紹介しましたが、その反省の大部分を今回のPretalx利用で解消できました。Pretalx以外にもいくつかのサービスを検討したりもしましたが、費用が高すぎたり、短期間利用ができなかったり、なによりどのような使い方ができるのか事前に分からない、といったハードルがあり採用できませんでした。Pretalxは公開モードにするまでは無料で色々と試せるのが良かったです。

次にチャレンジの機会があれば、残った課題も解消したいところですが、すべての課題を解決するにはもう自作するしかないだろうか…、しかしこういう汎用性のないサービスを保守更新していくのは続かなそう… とモジモジしています。要件定義書を書き残して、AIに毎年丸ごと実装させる!?それが実現できるかはさておき、要件定義書を書き起こすのは良さそうです。

技術2: PayForexで海外送金を安定化

PayForexで海外送金を安定化
PayForexで海外送金を安定化(AI生成のインフォグラフィックス)

海外への送金に合う新たな選択肢が必要でした。今まで使っていたWiseやPayPalといった一般的な送金サービスが、日本の法律や規制によって企業から個人への送金に使いづらいという問題に直面したためです。

そこで2024年にも検討していた海外送金サービス PayForex(ペイフォレックス)を今回採用しました。

PayForexのメリットと活用

  • 銀行からの自動振替: PayForexはPyCon JP Associationが利用するPayPay銀行と連携しており、送金処理時に自動的に銀行口座から資金を振り替えてくれます。夜や土日祝日も大丈夫でした。このため事前事後に銀行からデポジット(チャージ)を計画的に行ったり、残金を戻したりなどの管理が不要です。
  • 早い送金、低い手数料: SWIFT送金の手数料は1,980円ですが、PayForexでの銀行送金の手数料はインドの場合680円~1350円でした。翌営業日には着金して、その結果も確認できるためとても良かったです。SWIFTでは着金追跡が別料金なので、可能なら銀行送金を使いたいところですが、相手国ごとに受取人情報の入力項目が千差万別なのが悩みどころです。
  • 送金先の事前登録: 事前に送金先を登録しておけるため、相手国によって異なる入力情報の不足を事前に把握できました。
  • 送金実行が楽: 送金相手を選んで金額を入力した状態でカートにいれておき、後でまとめて特定の送金を実行する、といった使い方ができます。実際の送金がクリック数回で完了するなど、作業負担が大幅に軽減されました。

2024年当初はSWIFT送金のための情報収集の課題やアカウント開設の手続きに時間がかかる可能性から採用を見送りましたが、その後法人アカウントの準備を完了し、実際に活用することができました。PayForexのアカウント開設は、必要な証明書(登記簿謄本など)と担当者のeKYC(マイナンバーカード)で比較的容易に行えました。

PayForexで解決しなかった課題:

PayForexの利用時の課題は、とくに思いつきません。強いて言えば、やりたかった事の1つに、送金を一括登録したかったです。そうすれば、Pretalxから送金先情報を一括ダウンロードして転記ミスを気にすることもなくて楽だったかもしれません。試す時間がなかったのですが、PayForexにはBiz LightというCSVでの一括送金機能もあるようです。

PayForex最高でした。

まとめと今後の展望

今回の技術導入により、遠方支援の運営における人的コストとリスクを大幅に削減できました。

応募管理にはPretalxを活用し、参加者と運営メンバー双方にとって進捗状況が分かりやすく、情報収集がスムーズに行えるようになりました。また、海外送金にはPayForexを導入し、日本の法律や規制の影響を受けやすい他のサービスと比較して、法人アカウントからの安定した送金経路を確保することができました。

今後は、国内送金は引き続き銀行振込、海外対象者向けにはPayForexを利用していく予定です。PayPalやWiseは法人からの送金が日本の制度的に難しいので、残念ながらしばらくは使えなさそうです。

これらの技術を活用することで、遠方支援の目的である「住んでいる場所や収入が参加のハードルにならない」状態を、より少ない人的コストで実現できるようにしていきたいと思います。

2025-12-14

PyCon JP 2026の方向性を検討しています

 こんにちは。広島在住のPyCon JP 2026主催メンバーの秋山克美です。

広島で開催されたPyCon JP 2025の運営には途中から参加しましたが、同じく広島で開催予定のPyCon JP 2026の運営には最初から参加しています。

先月からPyCon JP 2026の主催メンバーは、「PyCon JP 2026では何をやるべきか・やった方がいいか・やらないべきか」について、Zoomで打ち合わせをはじめました。前回の打ち合わせの記事はこちらです。

打ち合わせの効率を上げるためにあらかじめ、各自がやるべき/やるべきでないことをあらかじめスプレッドシートに記載し、他のメンバーがコメントをそれぞれの項目に書いていきます。ミーティングの場では、シートに書ききれなかった背景を確認しながら、優先順位を決めていっています。

例えば今回扱ったやるべきことの一つは、わたしが書いた「FAQを早めに公開する」という項目でした。参加者以外にも、登壇を検討する人、スポンサーや後援を依頼する団体等の幅広い関係者の方々に、PyCon JP 2026を理解してもらうためには、早めにFAQがあった方が良い、という説明をしました。背景としては、PyCon JP 2025で、もっと地元のIT企業に認知を広げてスポンサーにもなっていただきたかった、後援団体ももっと増やしたかった、という反省があります。他のメンバーからも、webサイトにもっと情報を公開した方がよいという補足意見や、LLMにわかりやすくまとめてもらいやすくするためのサイトの構造に関する情報提供などがありました。

こうしたディスカッションを通じて、PyCon JP 2026をどういうイベントにしたいか、主催メンバーそれぞれの思いを深めて、意見を共有していきます。

ミーティングが終わって笑顔のメンバー一同
ミーティングが終わって笑顔の一同

PyCon JP 2026はまだまだ主催メンバーを募集しています! 主催メンバー一同、無償ボランティアとして運営を行っています。まだまだ運営は始まったばかりなので、イベントを作り上げる所から参加いただけます。

「今までPyCon JPに参加したことはあるけれど、○○があったらもっと楽しめたのに」とか、もっとシンプルに「そんなイベントあるんだったらなんかやってみようかな」や「仲間がほしい」、はたまた「ガクチカ/総合型入試の切り札がほしい」等の動機をお持ちの方、ぜひぜひ主催メンバーの仲間に加わって、一緒にPyCon JP 2026を作っていきましょう。興味がある方は、ぜひ以下のフォームから応募してください。

PyCon JP 2026 主催メンバー申込フォーム

あなたの応募をお待ちしております。

ではまた!


2025-12-04

PythonAsia (カンファレンス) の紹介とOnline Charity Talk H2イベントの紹介

Python Asia Organization (以下、PAO) の理事の寺田です。(PyCon JP Associaitonの理事でもあります)

本稿ではイベントの紹介や運営母体のPAOについて紹介します。

イベントの紹介

  • PythonAsia 2026 / 2026年3月21日~23日 / フィリピン・マニラ
  • PythonAsia Online Charity Talk H2 / 2026年1月31日 / オンライン

PythonAsia 2026

PythonAsiaはアジア地区で開催されるPythonのカンファレンスです。2025年まで実施していたPyCon APACからの置き換えのようなものです。(詳しくは最終節で説明します)

初回の「PythonAsia 2026」は3月21日から3日間、フィリピン・マニラで開催されます。

英語でのトークが複数トラックで2日間、開発スプリント1日間が予定されています。
公式サイト: https://2026.pythonasia.org/ 

参加方法はさまざまです。


スポンサーになったり、参加をする場合は、各国の地域で(可能な限り)現地語でのサポートを行います。日本においては、私、「寺田」が日本語でのやり取りや相談を受け付けています。 board@pythonasia.org に日本語でメールを頂ければ対応をいたします。

PythonAsia Online Charity Talk H2

2025年7月に続く2回目のオンラインイベントです。
前回の様子は、YouTubeにアーカイブが残っています「PAO Online Charity Talks H1 2025」。

2026年1月31日(土曜日)日本時間14:00から Zoomにて
公式サイト: https://pythonasia.org/events/pythonasia-online-charity-talk-h2/

オンライン開催のイベントのため、どこからでも参加が可能です。スピーカーリストは公式サイトで公開されています。

  • スポンサーになる・・スポンサー枠があります: sponsor@pythonasia.org
  • 参加する・・チケット販売開始

英語でのトークになりますが、アジアで活躍されている人を中心にし、日本からもTomoko Furuki (@komo_fr)さんとMaaya Ishidaさんの2名が登壇されます。技術的な内容が盛りだくさんの構成になっていますのでぜひともご参加ください。

Python Asia Organization

改めて、イベント運営母体のPython Asia Organization(PAO)の紹介と、過去に開催されたPyCon APACとの違いについて紹介します。

Python Asia Organizationの紹介

Python Asia Organization (PAO) は2024年10月に正式に活動を開始した非営利の団体です。

PAOは、アジア地域での Python言語の普及、東アジア・東南アジアにおける多様なコミュニティの成長を促進することを目的としています。 イベント支援やリーダー育成を通じて、持続可能かつ包摂的なアジアのPythonエコシステムの構築を目指しています。

PyCon APACとの違い

15年間続いたPyCon APACシリーズは、その名を引退させました。さまざまな理由がありますが、毎年ホスト国がゼロから運営する非効率性、知識継承の課題解消などの課題がありました。さらにPyCon APACを取りまとめる組織がなく、個人の活動に頼っていました。それらを改善するために、持続可能なアジアのPythonコミュニティを実現するため、国際法人 Python Asia Organization (PAO) が設立されました。これにより、商標管理とイベント運営への長期的な構造的サポートを提供できる環境を整えます。また、この新しいイベントシリーズを「PythonAsia」として現地コミュニティーと協力して主催することになりました。

詳しくは、Iqbal氏による下記の記事を参照してください。Iqbal氏はPAOの創設者であり代表で、これまで10年以上PyCon APACの開催を個人活動として支えてきました。今後は組織として支え続ける決断をしました。
この記事は、2025年3月に開かれた最後のPyCon APAC直後に記事が書かれています。
https://iqbalabdullah.net/ja/posts/2025/03/the-final-pycon-apac/

PAOとの関わりを増やす方法

PAO組織やコミュニティに興味がある方は、さまざまな形で関わることができます。



アジアにおける新たな取組としてPAOが立ち上がっています。組織づくりをしながら、イベント活動をしているという段階です。Pythonユーザのみなさんとなんらかの関わりが持てると幸いです。

2025-12-03

PyCon JP 2026 キックオフミーティングを開催しました

こんにちは!PyCon JP 2026の共同座長を務める佐野です。

11月終わりにPyCon JP 2026の主催メンバーとキックオフミーティングを開催しました。2026の開催に向けた最初の一歩になります!

PyCon JP 2026は、Pythonの国際カンファレンスとして開催される日本のイベントです。2025年は広島で開催され、2026年も引き続き広島にて開催となります。

この記事では、キックオフミーティングの様子と、これからどんな風にイベントを作っていくのかをお伝えします。

PyCon JP 2026 キックオフミーティングの集合写真です
PyCon JP 2026 キックオフミーティングの集合写真です

キックオフミーティングを開催しました

キックオフミーティングでは主に3つのことをやりました。

自己紹介

まずはメンバー同士の自己紹介から。主催メンバーは、過去にPyCon JPに関わったことがある方が多いですが、全員がすべてのメンバーを知っているわけではありません。どんなモチベーションで参加しているのか、PyCon JPで何を楽しみにしたいか、それぞれの想いをシェアしました。

バックグラウンドも様々で、エンジニアの方もいれば、デザイナーの方、学生の方もいます。こういった多様なメンバーが集まることで、イベントに色んな視点が入ってくるのが楽しみです。

座長として考えていたことのシェア

次に、私たち共同座長が2026年のイベントをどんな風に作っていきたいか、という想いをシェアしました。

PyCon JP 2026では、過去開催の内容を同じ形で行うのではなく、最初から主催メンバーみんなで企画を考えていくプロセスを大事にしたいと考えています。「こういうイベントにしたい」という想いを、みんなで形にしていく。そのプロセス自体を楽しみたいですし、それがイベントの質を高めることにもつながると思います。

やること/やらないことリストでディスカッション

考えをシェアしたところで「やること/やらないことリスト」をみんなで見ながらのディスカッションです。

やることやらないことリストの様子
やることやらないことリストの様子

このリストは「これがないとイベントが成り立たないよね」「これはできたらやりたい!」「これは今回はやらなくていいんじゃない?」といった内容を、2026チーム全員で記入をしているものです。

イベントには予算や人手、時間の制約があります。すべてをやろうとすると、どれも中途半端になってしまう可能性があります。同じ項目でも人によって意見が違ったりします。ある人にとっては「絶対あるべき!」ことが、別の人にとっては「そこまで重要じゃないかも」となる。そういった違いを話し合いながら、みんなで合意できる形を探っていきます。

その結果、PyCon JP 2026がどんなイベントとなるかが見えてくるのでは、と考えています。

PyCon JPを作っていくプロセスを楽しむ

今回のキックオフミーティングは、「PyCon JPをどうやって作っていくか」というプロセス自体を楽しむための最初のステップでした。みんなで「どんなイベントにしたいか」を考えるところから始めています。

私自身も主催メンバーと初顔合わせでもあったので、緊張しながらでしたが、どんなふうにイベントを作っていくかを話し合うのはとても楽しかったです。まだ手探りで進めている中なので、試行錯誤しながら良いイベントにしていきたいと思ってます。

引き続き、主催メンバーで議論を進めていきます。年内のうちにイベントの方向性を決めていこうと思っています。